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ハッピーダンガンロンパS 超高校級の南国サイコロ合宿 【はっぴーだんがんろんぱえす ちょうこうこうきゅうのなんごくさいころがっしゅく】 ジャンル 希望育成ボードゲーム 対応機種 Nintendo SwitchPlayStation 4Steam(Windows) 発売元 スパイク・チュンソフト 開発元 メイン トイディア シナリオのみ スパイク・チュンソフト 発売日 2021年11月4日(Switch)2022年7月21日(PS4/Steam) 定価(税別) 単体(DL専売) 2,200円 トリロジーパック 4,980円 ※アイテム課金あり プレイ人数 1人 レーティング CERO B(12才以上対象) コンテンツアイコン セクシャル、暴力 判定 なし ポイント 『V3』のおまけモードを個別作品化したボードゲーム形式のRPG『1』『2』『V3』『絶女』各作品キャラの新規ミニイベント収録ミニイベントだけを見に来たファンにもある程度応えられる内容RPG要素自体は悪くないが強い作業感は否めず ダンガンロンパシリーズ 概要 特徴 育成 バトル その他 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 『ダンガンロンパ』シリーズの主要キャラが勢揃いした、お祭りゲーム系の外伝作品。 ゲーム本編第3作『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』収録のおまけミニゲームである「超高校級の才能育成計画」が元になっており、これを1つのゲームとして分離、再構成したものである。 「才能育成計画」とシステムの大枠は共通だが、イベント等は刷新されており、「才能育成計画」を遊んだプレイヤーでも楽しめる。 本作は、本編シリーズ『1』~『V3』のカップリング作品『ダンガンロンパ トリロジーパック』のSwitch版に追加収録されている。 そのほか、ダウンロードでは本作のみを単品購入することも可能。約2,000円のロープライス帯となっている。 特徴 本作には主に、「育成」と「バトル」の2つのモードがある。 「『育成』でキャラクターを作成、育てる」→「育てたキャラを『バトル』モードで使用して先に進む」→「『バトル』モードで入手したメダルで新たに獲得したキャラを『育成』で育てる」→…という流れ。 『V3』の「~才能育成計画」モードで言う「才能育成計画」モードが「育成」に、「絶望のダンジョン」が「バトル」に当たる。 オートセーブであり、全ての行動は完了した時点で自動的にセーブされる。 育成 「バトル」モードで使うキャラクターを育成するためのモード。 このモードでは、希望ヶ峰学園が主体として実施した「卒業プログラム」に掛けられたという設定で、『2』の舞台「ジャバウォック島」で50日間を過ごすことになる。 本モード内では、『1』『2』『V3』の各キャラクターは、希望ヶ峰学園における同学年の生徒(同じ作品のキャラは同じクラス)という設定のパラレルワールドとなっている。 シリーズ本編のようなモノクマが主催するデスゲーム「コロシアイ」も発生しておらず、全ての生徒が平穏に学生生活を終えようとしている。 育成・操作できるキャラクターは、シリーズ本編である『1』『2』『V3』の3作に、外伝『絶対絶望少女』(『絶女』)のキャラを加えた総勢62名。 『1』『2』『V3』からは、ゲームの中心人物となる生徒達のほか、敵役のモノクマや「モノクマの妹」であるモノミ等が登場。 操作キャラではないが、『V3』に登場したモノクマの子供達「モノクマーズ」も登場する。 『絶女』からは主人公である苗木こまるの他、敵役である小学生「希望の戦士」5人やサブキャラであるクロクマ・シロクマ、『1』に登場した生徒である葉隠の母親・葉隠浩子が登場。 各キャラクターは「N」「R」「S」「SR」のレアリティが設定された4種類のカードとなっており、62名×レア4種類=248枚のカードについてそれぞれ育てることができる。 最初は、各作品の主人公のレアリティ「N」のカードしか持っていない。他のカードは後述のガチャで集めることになる。 レアリティはレベルアップやイベントでのパラメータの成長率に影響するほか、高レアリティでないと見られないイベントがある(後述)。 レアリティ「S」ではキャラが水着姿となっており、この水着姿の立ち絵は本作の新規描き起こしである(ポーズ等は本編のものの流用)。 各キャラクターは「バラエティ」「スポーツ」「インテリ」の3つのタイプのいずれかに属する。どのタイプに属するかによって、パラメータの成長傾向が異なる。 ターン開始時に、タイプに応じたボーナス(カードが貰える/サイコロの出目が倍・攻撃力アップ/お金が増える)を得られることがある。 戦闘でも、タイプ固有のコマンド(回復+1ターン防御/1ターン力を溜め、以降の攻撃力アップ/このターン強攻撃)を1戦闘に1回のみ使うことができる。 同じタイプでも、「幸運」の伸びやすい苗木、「忍耐」の伸びやすい山田といったように細かい成長傾向は複数タイプ存在する。 ゲームが始まると、1ターンに1度すごろく形式でサイコロを振って進んでいく。 特に進行方向の指定はなく、『桃太郎電鉄』シリーズのように各ターン自由に進むことができる。 1ターンが作中設定での1日に当たり、50ターン経過で強制終了となる。それ以外に終了条件はない。 後述の通り、このボードゲームに短期的な目的は設定されているが、あくまでターンの経過以外に終了条件はない。目的を無視して50ターン無駄に過ごしても終わるし、目的を全てクリアしても50ターン経過するまで終了はしない。 最終的には、操作しているキャラクターに設定されているRPGとしてのステータスを可能な限り上げることが目的となる。 進んでいくマップは『2』の舞台「ジャバウォック島」になっており、「中央の島」から周囲にある「第1の島」~「第5の島」の5つの島にそれぞれ独立して繋がる構造となっている。 スタート地点は「第1の島」の砂浜。後述の戦闘で敗北した場合はここに戻されてしまう。 「仲良しマス」の多い「第2の島」、「才能マス」の多い「第3の島」など、島によってマスの配置傾向は異なる。 「第1の島」⇒「第2の島」⇒ … ⇒「第5の島」と進むほど、敵の強さ、経験値やお金の入手倍率が高くなっていく。 それぞれの島には特定のマスから行ける「ダンジョン」のマップ(主に原作で殺人現場となった場所)があり、ダンジョンマップの奥には中ボスが存在する。 サイコロの代わりに「カード」を使うこともできる。 カードには、サイコロの出目を操作する「倍進むカード」「3進むカード」や、直接他のマスに移動できる「ショップカード」「第1の島へカード」に加え、キャラクター強化などその他の「幸運カード」「ムキムキカード」等がある。 移動補助系のカードはサイコロの代わりに使うため、使用したターンはサイコロを振れず、複数組み合わせて使用することもできない。「幸運カード」等の移動に関係しないカードはターンの消費がなく、同じターンでサイコロを振って移動できる。 後述のランダムイベントの際に自動で使用され必ず確率判定を成功させる「成功カード」など、ターン行動選択以外のタイミングで勝手に使われるカードもある。 カードの所持上限は基本的に5枚。6枚目以降を入手すると、その場で溢れたカードを選択して捨てることになる。 マスに止まると、止まったマスに応じてイベントが発生する。マスのパターンは以下の通り。 戦闘マス(赤) 雑魚モンスターと戦闘になり、勝利すると経験値とお金が貰える。出現する敵は戦う場所によって異なる。 成長マス(青) 経験値が貰えレベルが上がる。お金は貰えないが、戦闘がなく貰える経験値も大きい。 イベントマス(ピンク) 『人生ゲーム』をパロディしたような2択のイベントが発生する。選んだ選択肢によっていずれかのパラメータが上昇する。 仲良しマス(ピンク) 本作独自のミニ会話イベントが発生する。イベント内に出て来たキャラによって特定のパラメータが上昇する。会話イベントはランダムで10種類まで発生し、それ以降はパラメータの殆ど上がらないモノクマーズの1言コメントイベントしか発生しなくなる。 才能マス(橙) 戦闘で使う技「スキル」を習得するのに必要な「才能のカケラ」をサイコロの出目に応じて入手できる。 カードマス(紫) ルーレットで2枚のカードを入手できる。ルーレットは目押しが可能。 宝箱マス(紫) ルーレットで装備品やレアカード1つを入手できる。ただし、当たると何も貰えずペナルティを受ける罠もルーレットの出目に混じっている。 ショップマス(緑) お金を使ってカードや、戦闘時のパラメータが上がる装備品(武器/防具)を買うことができる。要らないカードを売ることもできる。サイコロ勝負で「襲う」ことでお金を払わず商品を強奪することもできるが、失敗すると戦闘で敗北した時のようにスタート地点に戻されてしまう。 マスイベントの後、マスとは関係ない9種類の「ランダムイベント」が発生することがある。 純粋なマイナスイベントはお金が奪われるイベントぐらいで、それ以外はプラスイベントか確率でプラス・マイナスが決まるイベント。 特に『パワフルプロ野球』の「ダイジョーブ博士」イベントをパロった「手術イベント」は、確率で成功・失敗が決まるが成功すると全てのステータスが大幅に上がるため、育成のキーとなる。 戦闘ではターン制、ダメージ等はメッセージで表示するレトロRPG形式で戦う。「育成」での戦闘は、後述の「バトル」より大幅に簡略化されている。 パーティは現在操作しているキャラ1人で、仲間は存在しない。そのため、敵は補助技などを一部しか使ってこなくなっており、ステータス勝負の面が強くなっている。 キャラのパラメータ傾向によって進みやすさに差が出るのを防ぐため、HPに当たる「発言力」以外のステータスはほとんど統合され、攻撃力や防御力は装備品と操作キャラの「一番高いパラメータ」の値のみで決まるようになっている。 戦う雑魚モンスターは「モノクマムル」「モノクマ仙人」「モノージョ」など、同じスパイク・チュンソフトの『風来のシレン』シリーズのモンスターのモノクマ版パロディとなっている。 才能マスやランダムイベントで集めた「才能のカケラ」を消費して、現在操作しているキャラに「スキル」を覚えさせることができる。 才能のカケラは「赤(物理攻撃・防御系)」「青(魔法攻撃・補助攻撃系)」「緑(回復・魔法防御系)」に分かれており、習得したいスキルによって必要な才能のカケラの必要数は異なる。 スキルは最大レベル10までのレベルがあり、既に覚えたスキルは才能のカケラを追加消費することでレベルを上げ強化することができる。 スキルの習得可能数はキャラのレアリティによって決まっている。最高レアのSRは5個まで覚えられるのに対し、最低のNは2個しか覚えられない。 最初は「第2の島」~「第5の島」には行けず、通り道をモンスター「モノケモノ」が塞いでいる。モノケモノに会い、戦闘で倒さないとそれぞれの島には進めない。 5種類のモノケモノはそのまま戦おうとするとかなり強く、かなり高めのレベルが必要になる。「虎の巻」「鳥の巻」などの対応する「秘伝の書」を取得すると大幅に弱体化し、倒しやすくなる。 秘伝の書はひとつ前の島のダンジョンの中ボスを倒すと手に入る。「第2の島」の入り口を塞いでいる「モノケモノ(トラ)」を弱体化させる「虎の巻」であれば、「第1の島」のダンジョンでボスを倒せば手に入る。 そのため、基本的には「第1の島で中ボスを倒す」→「第2の島入口のモノケモノを倒す」→「第2の島で中ボスを倒す」→…と繰り返していき、第5の島を目指すのが当座の目的となる。 前述の通り、与えられたこの指針に従うことは必須ではないが、次の島に進んでいかないと取得経験値が増えずさっぱり成長できないので、オーソドックスな流れとしては素直に従うことになる。 キャラのレベルは通常99まで。隠しイベントをこなすと100に上げることもできる。 レベルによるパラメータの成長はこのように打ち止めがあるので、イベントマス・仲良しマスや手術イベントといった「レベルに頼らない」パラメータ成長手段は特に強いキャラを育てようとした場合に重要になってくる。 特定数ターンが経過すると、「文化祭」「キャンプファイアー」などの固有イベントが発生し、キャラクター固有の会話イベントが見られる。 イベントの発生により、選択肢に応じた才能のカケラが貰えたり、パラメータが上がったりする。 高レアリティであるS・SRでプレイしていると、別途専用のイベントが発生し、そのイベントでもパラメータが上昇する。 50ターン経過して終了した後は、操作したキャラのデータを「バトル」モード用に保存できる。保存前に未使用の「才能のカケラ」でスキルを習得させることも可能。 装備品やお金は「バトル」にも次の「育成」にも引き継がず破棄される。あくまで成果になるのはステータスと習得スキルだけである。 既に同一キャラかつ同一レアリティで育てたデータがある場合は、今回の育成をそのデータに上書きして保存するか、破棄して元々のデータを残すか選べる。 既に保存したキャラを追加で育成することは一切できない。あくまで50ターンでどれだけ育てられたかの1回勝負となる。 この工程を繰り返して複数のキャラを育てていく。 1度でも50ターン育て終わったキャラの種類数(レアリティ違いは無視する)が一定数に達する度にイベントが発生し、クリアすると特典が付与される。 特典は「入手経験値・お金1.5倍」「ゲーム開始時にお金を1000所持」など非常に効力は大きい。1度得た特典は永続的に付与されるため、有ると無いとでは育成効率が全く違ってくる。 全62キャラをレアリティ問わず育て終わると、『1』の主人公・苗木を中心とした最終ストーリーが開始される。これをクリアすることで本作のメインストーリーは完結となる(その後も育成は可能)。 バトル 「育成」モードで育てたキャラを使ってダンジョンを進んでいくモード。 「絶望の塔」100フロア、「超絶望の塔」100フロアを合わせた200フロアを全て踏破することが本モードの目的となる。 各フロアは3連戦で構成されており、全滅せずに3連戦を倒しきることで次のフロアに進める。既にクリアしたフロアの再挑戦は何度でも可能。 特定のフロア(主に10の倍数)にはボスキャラクターがおり、3連戦の最後に待ち受けている。 特定のボスキャラを倒すと、「育成」モードのショップに終盤の武器や、本来ボスを倒さないと入手できない秘伝の書が安価で売られるようになり、大幅に進めやすくなる。 各フロアには「20ターン以内にクリア」「誰も死亡せずにクリア」などの「ミッション」が3つ設定されており、3つ全て達成(*1)すると報酬のメダルが貰える。 戦闘は「育成」モードと同じRPG形式。ただし、こちらの方が複雑性は高い。 物理攻撃力と魔法攻撃力が区別されていたり、防御力の概念が存在して「体力」「忍耐」のパラメータが機能していたりと、パラメータがそれぞれ本来の役割を果たしている。 全体的に敵は強く、ゲームを始めた頃に「育成」モードで届くであろうレベル30~50程度では浅層のクリアすら覚束ない。かなり早い段階で、「育成」モードでレベル99まで達成することが前提となる。 既に育成したキャラから、最大4人のパーティを組んで戦う。 同じキャラは1人まで。同一キャラをレアリティ違いで複数入れることはできない。 それ以外の縛りはなく、物理攻撃特化系の「スポーツ」キャラ4人で固めるなどの偏った構成にしても問題はない。 組んだパーティは5つまでプリセットに保存できる。 敵を倒すと、確率で「素材」をドロップする。特定の素材を消費することで「バトル」用の装備品を作成できる。 装備品は「武器」「帽子」「制服」「シューズ」「お守り」の5種類あり、それぞれ1キャラ1つずつ装備できる。特にキャラ単位の装備制限はなく、何でも装備できる。 素材は「牙」「眼」「肉」「皮」「毛」の5種類。「カタナ系の武器には牙が必要」といったように、装備品の種類によって必要な素材の種類は決まっている。 素材には、同じ「牙」でも「小牙」「大牙」「硬牙」のようなランクがある。フロアを進んでいくとランクの高い素材をドロップするようになり、それに合わせたより強力な装備品を作れるようになる。 素材のほか、「育成」で育てるキャラを入手するためのメダルもドロップすることがある。 その他 購買部 メダルを消費してガチャを回し、カードやアイテムを入手できる。 入手できるものは以下の3種類。カードは1種類1枚であり、同じものを再入手してダブることはない。 キャラカード…「育成」モードで育成するためのカード。「育成」モード記載の通り、62キャラそれぞれにレアリティ4種類がある。 ワクワクカード…持っていると「育成」「バトル」それぞれの戦闘中に補助効果を得られるカード。62キャラそれぞれに10種類ずつある。 アイテム…「育成」モードでの育成効率を上げる消費アイテム。「育成」モードの開始時に2種類まで使用できる。 それぞれのカードには、現実の物販におけるキャラクターグッズなどにも使用されていた、イラストレーター作画のデフォルメイラストが描かれている。 メダルは「バトル」でのモンスタードロップや、後述の実績「ウサミフラワー」の報酬として手に入る。 メダルは「モノクマメダル」「モノミメダル」「金のモノクマメダル」の3種類あり、レアリティの高いメダルを使うほど高レアのアイテムやカードが出やすい。 その他、DLCとして実際の現金を使用することで、特定レアリティのキャラカードまたはワクワクカードを自由に手に入れることもできる。 ウサミフラワー 本作の実績システムであり、特定の条件を達成すると実績が解除される。達成した実績に応じてガチャのメダルが手に入る。 難易度別に「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の4段階あり、手に入るメダルも難易度で異なる。 イベントギャラリー 「育成」モードで既に見たことのある固有イベントを見返せるギャラリーモード。それぞれのキャラ別に整理されている。 選択肢によって分岐のある固有イベントもあるが、「育成」モード中で既に見た選択肢に関わらず全ての分岐のイベントを見られる。 各キャラで見られるイベント数は、基本的には「仲良しマス」で見られるイベント10個+ターン経過で見られるイベント5個(高レアリティのキャラカードでしか見られない2個含む)の15個となる(*2)。 評価点 ジャバウォック島で過ごす面々のミニシナリオが非常に多数収録されており、これについてはファンの需要に十分応えてくれる出来。 本作に収録されているミニシナリオは実に1000近くにのぼる(*3)。クオリティについても高い水準でまとまっている。 前身となる『V3』の「才能育成計画」にも同様のミニシナリオは存在したが、本作では『絶女』の各キャラが追加されたことでキャラの取り合わせの幅が増えており、もちろん『1』~『V3』内での新しい組み合わせや、同じ組み合わせでの新しい会話もある。 パラレルワールドであるが本編のネタも多数拾っており、それがシリーズ他作品のキャラを絡めることで拡張もされている。 各キャラのイベント数が約15個とほぼ決まっていることもあり、キャラの登場回数にも大きな偏りはない。作中での活躍、人気の有り無し問わず出番が与えられている。 ストーリーは本作のシステムに寄せたものであるため大きな驚きはないが、最終ストーリーに関しては一度見ておいても損のない出来。 『1』の主人公である苗木を主役として展開される。現行の時系列最終作であるアニメ版『3』ではあまり主体的な役割を持てず活躍に欠けたきらいもある初代主人公・苗木が、因縁の敵であるモノクマに立ち向かう姿は面目躍如の感があり、大変頼もしい。 イベントについてはあくまでミニシナリオ集であるため演出は強くない本作であるが、この最終ストーリーについては固有の演出も多数入れられている。 ボードゲームのマップは『2』のジャバウォック島が3Dで描かれており、よく再現されている。 『2』作中の施設が(内部まで描かれているのは「ダンジョン」になっている建物だけだが)いずれも存在し、懐かしい気持ちに浸れるだろう。 後述の通り全体に強い作業感が漂うものの、本作のミニシナリオを見たいという目的だけで買うのであれば、そこまで大した作業もなく楽しむことはできる。 止まると各キャラ10種類の固有イベントが見られる仲良しマスは序盤の「第2の島」に多数配置してあるため、50ターンあればゲーム序盤でも全て見ることは楽に可能。 レア度S(水着)までのキャラカードは実績報酬で多数手に入るモノミメダルで比較的楽に手に入るので、ターン経過のイベントもレア度SRのキャラカードが必要なもの以外は簡単に見られる。 結果的に、各キャラ15個用意されているイベント中14個ずつは特に作業要素を必要とせずに見ることは可能。 とは言え、あくまで1周で見られるのはそのキャラのイベントだけなので、全キャラのイベントを見ようとすると62回の周回は必要となるが… ただ遊ぶ分には「育成」モードはそこそこ楽しく、バランスも割と練られている。 キャラ間で難易度の差があまり付かないように調整されていたりと配慮は感じられる。1回2回遊ぶ程度でストレスが溜まることはまず無いだろう。 モノクマのボイスを『1』『2』の大山のぶ代氏版と『V3』のTARAKO氏版から選べるなどの配慮も行われている。 賛否両論点 コロシアイが起きておらず、かつ卒業間近という設定から、全体的に平穏な雰囲気が漂う。 「超高校級の『暴走族』」の大和田や「超高校級の『極道』」の九頭龍といった荒れがちなキャラも大分丸くなっている。『2』の西園寺や『V3』の入間の毒舌っぷりは相変わらずだったりと例外も複数あるが、全体的に雰囲気は穏やかに進む。 シリーズ本編に不足していた和やかなやりとりを補完できることに十分な需要はあるだろうが、見方によっては人間関係が安定し過ぎておりストーリー的な起伏にやや欠けると言えなくもない。 非常に多数のシナリオがあるため十分許容できるラインではあるのだが、本当にただ和やかな世間話をするだけで何の捻り・オチもなく終わってしまうようなシナリオも複数存在する。 DLCの導入 発売前の事前情報になかったこともあり、ガチャをDLCで購入できるという仕様はやや賛否を呼んだ。 とは言えクリア自体はDLCがなくとも十分可能なレベルなので、DLCとして大きな問題があるという程ではない。 問題点 稼ぎを強いる、かなり作業的な構成。 そもそも、62キャラを各1度以上育てないとメインストーリーすら終わらせられないという仕様が大変作業的。 「育成」のボードゲームについては、ゲームを進めると特典のお陰で進めやすくなるぐらいで、内容自体は最後まで特に代わり映えしない。何十回、何百回も繰り返すには厳しい構成である。 育てたキャラ数が増えると経験値・お金アップの特典が貰えて成長速度が上がっていくが、逆に言えば特典が貰えるまでの育成は効率が遅く、「バトル」で実用化できるようなキャラには到底育たない。将来的にはまず間違いなく無駄になってしまう。 そのため、本作の最適解はまず「一切キャラを育てず終わらせる」周を数十周こなし、特典を貰ってやっと育て始めるのが一番効率がいいことになってしまう。 参考までに、「育成」は何もせず最速で50ターン終わらせても1周10~12分、真面目にやれば25~30分程度は掛かる。 全てのキャラに「希望のカケラ」を集めさせるというストーリー上の目的に沿ったものではあるのだが、それでも余りにゲームの快適性を犠牲にしすぎである。 「バトル」の方では、装備品作成のためにかなり素材稼ぎを強要させられる。 装備品におけるステータス影響は極めて強く、レベル99~100に育てたキャラでも装備品が弱ければ殆ど活躍できない。パーティー4人分の装備を揃える必要がある。 後半になってくると、1つの装備を作るにも複数の素材を10個20個といった単位で用意しなければならず、非常に面倒。装備は必ず落とす訳ではなく、落とす場合でも複数種のドロップアイテムから目的のものを落としてくれるとは限らず、落とすのも必ず1個ずつである。 終盤になると、最高レアのキャラやワクワクカードを手に入れるために、最高ランクのガチャ用メダル「金のモノクマメダル」が必要になってくる。これは後半のボスにドロップさせるか、一部の高難易度実績・ミッションの報酬でしか手に入らない。 これが7、8回ボスを倒してようやく1個手に入るかどうかという確率でしか落とさない代物。後半のボスしか落とさないため、手軽にワンパンで倒せるほど弱い訳ではなく周回もやや面倒である。 これでガチャを回しても、出るカードは62キャラの内の1人分。ダブりはないとは言え、当然いつ目当てのキャラが出るかは完全に運。 最高ランクの装備「V3」系の武器については金のモノクマメダルが素材として10個も必要(*4)。パーティ4人分揃えようとすれば1つの武器につき40個である。作業量は計り知れない。 演出面もプレイ時間に対して十分とは言えず、特に「バトル」モードは「育成」モードの流用感が強い。 「バトル」モードでは戦闘が4人パーティになり複雑化しただけで、結局のところ出て来る敵や背景といった演出面は「育成」モードと全く変わらない。 そのため水増し感は否めず、ガワが異なるだけで同じようなモードを遊んでいる感が否めない。これもゲーム全体の作業感に繋がってしまっている。 UIにちょくちょく引っ掛かる点がある。 戦闘スピードを3段階に選べるのはいいのだが、これについてはオートセーブの対象外であり、再起動すると設定は元に戻ってしまう。 戦闘スピードを下げるとメッセージ速度だけでなく、各キャラの行動選択を行う際の切り替え時間等も増えてしまう。そんな所までスピードを下げる必要はないのだが… 稼ぎをしていると、最高の3段階目でもやや遅いと感じてしまうかもしれない。 戦闘AIも微妙で、必ずしも最適な行動を取ってくれない。 「魔法攻撃に弱い敵には魔法攻撃を使う」のようにパターンが組まれているため、物理攻撃系のキャラに補助的に魔法攻撃を付けておいたりすると、弱点ではあるが大して効かない魔法攻撃を使って、結果的にダメージは減ってしまったりする。 ステータス異常系の技を付けておくと簡単に勝てる敵にもそれを乱用したりと、全く融通が利かず状況に合わせた行動を取れない。攻撃重視・回復重視のようなAIのタイプ選択も付いていない。 稼ぎ作業が必須となる本作において、必要性が高いのはAIによる自動戦闘よりむしろ特定のコマンドを実行し続けてくれるタイプの自動戦闘なのだが、そういった機能は付いていない(戦闘中のコマンドカーソル固定もできない)。稼ぎ作業では特定の行動しか使わないよう習得スキルを調整したキャラを使うか、手動で操作するなどの対策が必要になる場合がある。 ネタバレ注意の警告がない。 前身の『V3』ミニゲーム時代から存在した問題だが、本作では「○○と△△は実は同一人物」「黒幕は○○」等のネタバレが容赦なく行われている(*5)。 もちろん原作中のネタバレ込みのシナリオがあること自体は全く問題ないのだが、ゲーム開始時の警告等はなく、知らないプレイヤーも普通にプレイできてしまう。 『V3』のミニゲームはクリア後のおまけだったのでまだしもだが、本作は『トリロジーパック』では『1』~『V3』と並列に収録されており、単品でも購入できる作品である。また、同時収録でない『絶女』のネタバレも本作には存在する。一言警告があれば済む話なだけに気に掛かる点である。 プレイ中に急にゲームが落ちてしまうバグがあった(現在は解消済)。 プレイ時間が関係しているようで、ある程度長時間のプレイになると発生する。プレイ中断の際に電源を落とさずスリープでプレイしていると起こりやすい。 オートセーブであるため致命的な損害にはならないのだが、再現性は高くこまめに電源を切るプレイでなければまず遭遇するため、やや印象は悪い。 2022年2月15日配信のアップデートで修正が行われバグは解消されたが、修正に約3ヶ月を要した。 それ以外にも、長時間スリープすると、スリープ解除時にかなり長めの読み込みが入る問題もある。画面に明示する形で読み込む挙動ではなく、読み込みの間画面は固まってしまうので、初見では間違いなくフリーズを疑ってしまう。こちらは現在も解消されていない。 ゲーム起動時のタイトル表示までの時間が長い。 ムービーがある訳でもないのに、「会社ロゴ表示の前」と「タイトル表示の前」に2回も読み込みが入り、いずれも数秒はある。 本来そこまで大した話ではないのだが、上記の強制終了バグの際に再起動する羽目になるため、合わせ技でイライラが大きくなっていた。 総評 恐らく多くのプレイヤーが目当てにするであろう、キャラクターの新規イベントについては問題は少ない。 無論、シリーズ本編各作品における重厚で伏線に溢れたシナリオに匹敵する魅力があるとまでは言えず、あくまでミニシナリオ集なので演出性はやや低いが、それでもその範囲でクオリティは量・質共に十分で価格相応の魅力はある。 あくまでファンアイテムの域は出ないものの、公式のキャラ会話をもっと見たかったというシリーズファンの欲求には応えてくれるだろう。 一方、ゲームとして見ると「ボードゲーム要素」「RPG要素」それぞれ自体に大きな問題はないのだが、「ミニゲームレベルのものを無理に引き延ばして単体のゲームにした」感は否めない。 本作のシステムに60人以上のキャラや200階のダンジョンを進めるほどの奥深さやファンサービスの密度があるかと言われれば、答えはNOである。 「各キャラのミニイベントだけ見てゲームを止められる」選択肢のある設計なのは評価点だが、流石にそれで全てを納得するのは無理だろう。 作業要素によるプレイ時間の引き延ばしがゲームの評価を下げてしまった一例である。 余談 本作というよりは『トリロジーパック』の話になるが、パッケージに描かれるキャラに『1』の山田(髪の頂点が尖っており眼鏡を掛けている人物)が選出されている点はファンからしばしばネタにされる。 いかにも重要なキャラのように考える仕草をして格好つけた姿が背景にでかでかと描かれているが、『1』での彼の活躍はそこまでのレベルとは到底言い難い。 公式に言及はないが、フルネームが「山田一二三」であるため、『1』『2』『V3』の3作をまとめた作品だからという理由で選出されたという説が有力である。 赤松楓役の神田沙也加氏は本作発売から1ヶ月後の2021年12月18日に急逝したため本作がシリーズ最後の出演となった。 Nintendo Switch版から遅れて2022年7月21日、PS4/Steam版が発売。 PS4では元々『トリロジーパック』という形でDL版『1・2 Reload』と『V3』のセット販売が行われていたこともあり、Switch版のようなパッケージ版は販売されず、『S』の単品販売のみとなっている。
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「へー、苗木君の妹さんって来年高校生なんですね。 お兄ちゃんとしてはやっぱり心配ですか?」 「うん、やっぱりね。 ボクは受験の段階に入る前にここへの入学が決まっちゃったからアドバイスもあげられないし…、 舞園さんは兄弟とか居ないの?」 「私は1人っ子ですよ。 だから少し兄弟に憧れます」 「いっしょに居るとアレだけど、離れると少し寂しい…かな? 舞園さんも兄弟は無理だけど、そういう家族ならこれからできるんじゃないかな」 「あら、苗木君ったら大胆なんですね。 ちょっとドキッとしてしまいました」 「…え!? ボ、ボクそんな変なこと言ったっけ!?」 「自覚がないなんて天然なんですねー」 今は放課後の教室、ボクは舞園さんと2人で会話をしている。 今日は珍しく舞園さんの予定がないので、こうやってゆっくり話しているのだ。 さっきまでは桑田君と朝日奈さんも居たのだが、用事があるらしく先に帰ってしまった。 「おい、苗木!俺と千尋は先に帰るぞ!教室の鍵閉めとけよ!」 大和田くんがボクに声をかける。 もうこんな時間だったのか…。大和田くんと不二咲さんが帰ったら確かに2人だけだ。 「ごめんね苗木君、霧切さん。 それじゃあ先に帰るね、さよなら!」 「あ、うん。それじゃあね!」 「はい、また明日」 「おう、それじゃあな!」 ボクもそろそろ帰らないと先生に怒られてしまう。 少し勇気を出して、舞園さんに一緒に帰ろうと誘おうとした、その時。 「苗木君居る? ちょっと用が…」 教室のドアを開け、2人しか居ない空間に1人の人間が割り込んできた。 超高校級の探偵、霧切さんだ。 今、ボクに用があるって言ったっけ? 「えっと…霧切さん?」 「…ん、取り込み中みたいね。 ごめんなさい、なんでもないわ」 霧切さんがボクと舞園さんを見ながらそう言って、教室から出て行く。 「……えーと」 「…行かなくて大丈夫なんですか? 用事があるみたいでしたけど…、それとも私と帰ります?」 「うーん…」 霧切さんからボクに声をかけるなんてとても珍しい。 きっと、重要な用事なんだろう。忙しい舞園さんと帰る機会はあまりないのだが、 いつも世話になっている霧切さんのお願いを無視なんてできない。 「なんの用事だか気になるし、霧切さんを追いかけるよ。 ごめんね舞園さん。鍵をお願いしてもいいかな?」 「…はい、構いませんよ。 それではさよなら」 舞園さんが笑顔で別れの挨拶をしてくれる。 面倒を押し付ける形になったのに、前園さんは本当に優しいなぁ。 「うん、さよなら!」 ボクは教室のドアを開けて、霧切さんを追いかけた。 「ふふふ、少し気に食わないって顔ね。 あ、アイドルなのに女として探偵に負けるなんて、…惨めだわ。 ……ああ、またこんなことを言っちゃった!い、苛められる!明日から私の席はないんだわ!」 「腐川さんですか…、 どこから出てきたかは聞きませんが、そんなのじゃありませんよ。 ただ…、少しだけ悔しいなぁ、と思っただけです」 「やめてっ!き、菊の花には重いトラウマが! 筆が進まなくなっちゃうじゃない!」 「聞いてないですね」 …? 何か聞こえてきた気がするけど…、気のせいかな? ********* 「霧切さんっ!」 「…苗木君? 舞園さんはいいの?2人で話すのは久しぶりのはずでしょ?」 「でも、ボクは霧切さんにお世話になりっぱなしだから…、少しでも霧切さんに協力したいんだ。 ……迷惑だったかな?」 霧切さんは少し考えこむように俯き、すぐに顔を上げてボクを見る。 「いえ、とてもありがたいわ。 仕事で苗木に手伝ってもらいたいことがあったのよ。 ついてきてもらってもいいかしら?」 「もちろんだよ!」 ボクは霧切さんの言葉に頷いていた。 舞園さんと話すのは楽しいけれど、霧切さんと一緒にいると、とても安心する。 ボクは、何故だかとても居心地のいい霧切さんの後について行くのだった。 ************ 「……………暇だなぁ」 ボクは今喫茶店に居る。ちなみに1人だ。 ボクの目の前には一回しか口をつけてないコーヒーがあるのみである。 そう、霧切さんと一緒に居るはずなのに、ボクは今1人で喫茶店に居る。 「うーん、本当にこんなのでいいのかなぁ……」 そう、ここに居るのは霧切さんの仕事の手伝いの為なのだ。 ボクは、別れる前に霧切さんに言われたことを反芻した。 「囮になって欲しい…かぁ」 霧切さんはとある犯罪集団の取引の証拠を手に入れる仕事を請け負ったらしい。 しかし、依頼した側の不手際で、裏では有名(らしい)な霧切が捜査しているとバレてしまい、 誰か霧切さんの変装をして、別の場所を捜査する人が必要だったようだ。 無論そっちはダミーで、安心している犯罪集団を霧切さんが尾行するという手はずである。 そこで、事件とはまったく関わりなく、(不本意ながら)体格の似ている僕が選ばれたらしい。 と、言ってもこの喫茶店の近くであるポイントに、霧切さんから連絡があったら行くだけの、 簡単なお仕事だ。 「それにしてもカツラを被るだけでバレないものなのかなぁ?」 一応ボクは服を中性っぽいのを着てカツラを被っている。 こんな変装で大丈夫なのか疑問だが、まあ霧切さんが大丈夫というならそうなんだろう。 と、1人思い耽っていると電話の着信音が終わった。 「あ、っと…。 はい、なえ…、霧切です」 うーん…、電話がかかってきた時のシミュレートをしていたのに、このザマである。 「……演技は余り得意ではないようね。 まあ、念のための演技だから構わないけど」 「あはは……」 乾いた笑いが出る。自覚があるので反論できない。 「それじゃあお願いするわ。 あくまでそっちはダミーの取引場だから危険はないと思うけれど、 念のため気を配るのを忘れないようにしなさい」 「うん、そっちも気をつけてね」 ボクは電話を切って、温くなったコーヒーを放置したまま席を立った。 ……やっぱり苦いのは苦手だ。 ***************** ボクは問題の場所である公園を覗き込んだ。 子供が遊ぶ為の場所のはずなのに、やけに暗くて周りを見渡せない場所にある。 「…5分くらいしたら帰ろう」 少し怖くなってきたし、 ボクはあくまで囮だからそれくらいで十分だろう。 ボクは辺りを警戒しつつ、公園を横切ろうとした…、その時。 「……っ!」 嫌な予感を感じた。 セレスさんの本名をうっかり呼んでしまった時の、あの感じだ。 ボクは少し前に走り、振り返る。 「…あの、どなたですか?」 ボクの目の前にはスーツ姿の男が居た。 明らかに様子がおかしい。状況が状況だけに、ボクも警戒する。 この人が例の犯罪グループの人…、なのか? もしボクが物語の主人公とかだったら、大神さんに教わった奥義で応戦とか、 大和田君の喧嘩の付き合いで慣れている、とかの設定で戦闘でも始まるのだろうが、 残念ながらボクは普通すぎる高校生だ。 ボクには逃げ回って霧切さんが襲撃されないようにするくらいしかできることはなかった。 「……っ」 ボクは公園から大通りに向かって走り出す。 日頃朝日奈さんの付き合いなどでよく走るので、体力にはそこそこ自信がある。 後ろから悪態をつく声や、追いかけてくる音が聞こえる。 やはり追跡者らしい。 思ったより霧切さんは危険な橋を渡っているようだ。 彼女の身も心配だが、今はボクも危険だ。 次の曲がり角で大通りへの道に出れる、はずだったのだが…。 「…あ」 出会いがしらに頭に強い衝撃を受けて、ボクはそこで意識を手放した。 …なんかボクこういうパターン多い気がする。 ************** 後頭部に暖かく、柔らかい感触を感じる。 少しずつ意識が覚醒していく。ボクはゆっくりと目を開いた。 「…きり…ぎりさん?」 「目が覚めたのね、おはよう苗木君」 目の前に霧切さんの顔がある。 えっと、状況が良くつかめない。ボクは何してたんだっけ? 「まず最初に謝っておくわ。 危険な目に遭わせてしまってごめんなさい」 …ああ、そうだった。 ボクは霧切さんの仕事を手伝っていて、突然頭を殴られて…。 「…あ! あの男たちは!?」 「もう検挙されたわ。 小さなグループだし、もう追われることもないと思うわ」 「…そっか」 それはよかった。 …ってあれ?上に霧切さんで頭に柔らかい感触がってことは……、膝枕!? 「うわっ!」 「おっと…、 どうしたの急に?危ないじゃない」 「いや流石にこれは、というかなんで今まで気づかな……、 あれ?」 慌てて起き上がったボクは、頭が急に重くなり体から力が抜ける。 そんな残念なボクを、霧切さんが支えてくれた。 「…急に起き上がるからよ。 これでも苗木君を危険な目に合わせてしまったことを反省しているんだから、 私の膝で大人しくしてなさい」 「ご、ごめん…」 ううん、少し恥ずかしいが、まあなんだ、うれしくもある。 ボクも男だ。霧切さんは綺麗な女の子だし…。 「苗木君の目的も兼ねてるならともかく、 今回は私の手伝いでこんな目に遭わせてしまったのだから…、謝るのはこちらのほうよ」 「ううん、ボクが手伝うって言ったんだから気にしないでよ。 それに霧切さんを手伝うのは当然だよ」 すごくお世話になってるし、それにクラスメートだしね。 特に今回は霧切さんが殴られてた可能性があったのだから、 むしろよかったと言ってもいいかもしれない。 「…苗木君は心配になるほどのお人よしね。 それとも私は今結婚詐欺的なものにでも引っかかっているのかしら?だとしたら危険ね」 「えっと……、何を言ってるかよくわからないけど…、 少し寝てもいいかな?疲れちゃって……」 「ええ、お休みなさい…」 霧切さんの声を聞いて、目を瞑る。 それと同時にボクの意識は落ちた。 ************** 「まったく…苗木君は」 「私だから手伝ってくれるのかしら?」 「……そんなはずないわね」 「苗木君は皆に優しいわ。 誰にでも手を貸すし、それで怪我をしても文句を言わない人」 「それでも……、 いえ、それだからこそ……」 ************** 目が覚めたらそこは自室だった。 唇に何か暖かいものを感じたが、それ以上に倦怠感があった。 重い頭を振って目を覚ますと、隣にメモが置いてあった。 そこにはこう書いてあった。 「医者には見せたわ、問題はないそうよ。 今日はありがとう、お休みなさい。 ps.鍵はポケットから借りたわ……かぁ」 霧切さんがボクのポケットに手を入れて鍵を探したのも重要だが、 それ以上にメモの横に置いてある時計が問題だ。 「8時…半…?」 ………いやいやいやいやいや。 「遅刻だよっ!」 ボクは急いで立ち上がり、身だしなみを整えて部屋を出た。 無論遅刻した。 ***************** 放課後、ボクは舞園さんと一緒に居た。 「ボクは苦手だなー、あれは少し匂いが……」 「うーん、私は好きなんだけどなー」 今日も珍しく舞園さんが居るので話している。 本当は霧切さんに医療費を払いたかったんだけど、 教室に居ないので今は無理である。 まあ、そんなに急ぐことでもないし、今日は舞園さんと話していよう、と思っていたのだが…。 「苗木君、少し良いかしら?」 「…あっ、霧切さん。 えっと……」 ボクは舞園さんの方を見る。 舞園さんは笑顔で霧切さんを見ている。 目が笑ってない気もするけど、きっと気のせいだ。 「昨日の今日で悪いのだけれど、苗木君の協力が必要なのよ。 それじゃあ舞園さん、ごめんなさい。苗木君を貰っていくわね」 「え、あ、ちょっと!霧切さん!?」 霧切さんがボクの手を掴んで引っ張っていく。 こんなに強引な霧切さんは初めてだ。 「行くわよ苗木君。 男の子なんだから少しくらい危なくても平気でしょ?」 「危険なの!? というかまだボク返事してな……って、待ってよ霧切さん!もう少しゆっくり!」 霧切さんに引っ張られて学校を駆け巡る。 霧切さんと仲良くなれた気がしたけど…、これはちょっと予想外だ。 というか転ぶ!転んじゃう! 「…また少し気に食わないって顔ね。 す、素直に認めれば良いのに…、アイドルなのに負けちゃいましたって」 「ふふふ…、そんなんじゃありませんよ腐川さん、 少しじゃありません……凄く気に食わないですっ!」 「…ひっ! き、急に怒鳴らないでよ。お、驚くじゃない」 「…すごい剣幕だべ。 これは近い将来niceboatエンドだな。 俺の占いは三割当たるっ!」 「ふんっ、下らんな。 痴話喧嘩ならよそでやれ、俺は教室でやることがあるんだ」 「ふふふ…、これは良いネタを仕入れましたぞ! 次の同人に使わせてもらおうじゃないか! …無論18禁で」 「おいコラ!毎度毎度アグレッシブすぎんだよ! 酔っ払ってんじゃねえだろうな、このブーデー!」 「君達落ち着きたまえ! ここは教室だぞ!例え授業中でなくとも静かにするんだ!」 教室から賑やかな声が聞こえてくる。 今のボクは無理やり連れてこられたようなものだが、まあそれは…… 「遅いわよ苗木君。 ちゃんとついてきなさい」 「う、うん!」 霧切さんのボクに対する遠慮がなくなったので良しとしよう。 それはきっと、とても嬉しいことなのだから。
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ダンガンロンパ The Animation 超高校級の扇子 苗木誠 ダンガンロンパ The Animation 超高校級の扇子 苗木誠 発売日 :2013年7月31日 発売 商品情報 ・本体サイズ:約21cm ・材質:扇部分 紙/骨部分 竹 (黒) ダンガンロンパ The Animation 超高校級の扇子 霧切響子 ダンガンロンパ The Animation 超高校級の扇子 霧切響子 発売日 :2013年8月17日 発売 商品情報 ・本体サイズ:約21cm ・材質:扇部分 紙/骨部分 竹 (黒) ダンガンロンパ The Animation 超高校級の扇子 十神白夜 ダンガンロンパ The Animation 超高校級の扇子 十神白夜 発売日 :2013年8月17日 発売 商品情報 ・本体サイズ:約21cm ・材質:扇部分 紙/骨部分 竹 (黒) ダンガンロンパ The Animation 超高校級の扇子 キーヴィジュアル ダンガンロンパ The Animation 超高校級の扇子 キーヴィジュアル 発売日 :2013年7月31日 発売 商品情報 ・本体サイズ:約21cm ・材質:扇部分 紙/骨部分 竹 (黒)
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モノクマ「これからオマエラには一生をこの学園で暮らしてもらいます!」 桑田「ハァ?何言ってんだよ?」 大和田「ふざけてんじゃねーぞオラァ!!!!」 モノクマ「もし外に出たいならコロシアイをするんだね」 不ニ咲「コ···コロシアイって?」
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「あっ、はじめまして。霧切トワっていいます。」 「えぐ~!かっこよ!!」 「うわっ!うわ~あ~~!!」 名前 霧切 トワ(きりぎり とわ) 出身地 日本 誕生日 転入日 職業 タクシードライバー兼迷探偵警察官階級はGrade 1のOfficer(巡査) プレイヤー まいも 告知等 Twitter 配信場所 YouTube 別キャラ 薩摩 妹子 基本情報 性別 不定性 年齢 20歳 あだ名 トワソン キリギリス 等 特技 ギターを弾ける エピソード + 人物像、個人情報系 不定性の認知度が低いことが、ちょっとした悩みである。自己紹介のときには、詳しく説明をしている。 生真面目で取っ付きにくいが少しずつ友達が増えていて満更でもなさそう。 よく棚に頭を打って性格がケロっと変わる。 黄色の首輪をした黒パグのシワがいる。 ガンライセンスを取得し、狩猟を始める。 よくヨーソローハリケーンに巻き込まれる。最近では、受け身が上手くなり、ダウンせず脱出できることができている。 約2000万円貯めて、Off-Road TrackのREBELの黒を購入し、便利な足を手に入れた。 + 出来事、イベント系 けんポコ・フォージャーが、カジノのルーレットで車を当てたのを間近で見る。 警察官になるも篠崎ケイ(ギャング)と仲良くなってしまい、頭を抱える。(セーフゾーンでの宴を終えて連絡先を消した) 人前で歌を歌うのを恥ずがっていたが後藤 れむに後押しされてカフェで歌う。 楽曲を作っている市民達の影響もあり、作曲をしてみようと思い立ち始める。最初は、1人で作っていたがアイデアが浮かびにくかったこともあり、歌舞羅伎 アマルや雷堂 ましろに力を借りる。(現時点、未完成) + "題名未決定"歌詞 今日も眠らない街で 鳴りやまないサイレン 歌おう 宴の幕開けだ 夢から醒めて 心の眼でみる 何処にでも居て何処にも居ない 扉開けたら これってサガルート?! 車輪回して一喜一憂 ハリケーンで もう目の前ぐるぐる SAN値!回復 猫ともちゃ パンチ!現れたな症候群 君がいれば 悩むのも一興? なら問題なし!!!!!! 眠らない街で 鳴りやまないサイレン 歌おう 宴の幕開けだ 騒ごう 手を取りあいながら まだ もうちょっとだけを続けてタイ 久しぶりに街に降り立ち新聞を読む。その中にあった暗号を解読し、明るい未来教団についての調査を行った(同行者→小此木 ナカバ)。暗号に書いてあった儀式や生け贄という単語や、順路の途中にある多くの巨大な目を持つ神のペイントにより、2人の不安を掻き立てる。しかし最深部に行くも何もなく、海に出る。最終的に空ボンベを返すために高速道路で合流した命田 守から今の現状を聞く。(教団に大きな動きは無く、様子見状態) 伊藤 カテジとのヘリ練習する。狭い場所への着地を一発で成功させ、最難関(伊藤 カテジ曰く)のドーム状の建物の上への着地を数回で成功させる。→その後も度々練習を続けている。 伊藤 カテジ主催のチンチロ大会に出場する。結果は10万チップとルーナ ブラックと並び、同率4位となる。優勝は、ギャンブルズ。 2023年4月12日人員整理により解雇される。 アーカイブ 配信日 day 配信タイトル 10/7 1日目 初めまして。 10/9 2日目 霧切トワです。僕の日常と少し先を見据えたいです。 10/13 3日目 霧切トワです。先輩の優しさで出勤します。。 10/14 4日目 霧切トワです。急遽釣りに誘われました。 10/14 5日目 霧切トワです。出勤します。 10/15 6日目 霧切トワです。相手のペースに飲まれそうです;; 10/16 7日目 霧切トワです。僕って警察でいいんでしょうか。 10/17 8日目 霧切トワです。農業とか好きなんすよね実は。 10/17 9日目 霧切トワです。出勤します。 10/18 10日目 霧切トワです。むむむ 10/19 11日目 霧切トワです。。 10/19 12日目 霧切トワです。今日からまた改めて頑張りましょう。 10/20 13日目 霧切トワです。僕に曲が作れるのでしょうか?※PLで曲作り 10/22 14日目 霧切トワです。本当にこのままでいいのでしょうか? 10/23 15日目 霧切トワです。僕はお金がいるんだ、、、 10/23 16日目 霧切トワです。嫌な予感がする。 11/6 17日目 霧切トワです。久々の街、夜更かしはしないの誓い。 11/8 18日目 霧切トワです。ストバトが気になる。 11/9 19日目 霧切トワです。ガンライセンスが欲しい…。 11/10 20日目 霧切トワです。ハンター試験が始まる・・?!? 11/10 20.5日目 霧切トワです。ハンター試験が始まる・・?!?後編 11/20 21日目 会話デッキを添えて生きたい、、 11/21 22日目 クラスの端っこタイプは今日も生存。 11/25 23日目 財布の潤いは心の潤い。 11/25 24日目 目標を持つ。 11/25 25日目 チンチロには夢がある。 11/27 26日目 僕らしさ。 11/28 27日目 克服したいもの。 11/29 28日目 おやすみの日だし、少し周りを見てみたい 12/1 29日目 夜中~~~!!
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霧切さんが苗木のこと「あなた」ってよんでんだよな…いやまさか →苗木に限らず、霧切さんが誰かを二人称で呼ぶときは「あなた」じゃなかったっけ 少なくとも1の頃から「苗木くん」「あなた」って両方で呼んでたはず
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「な、何なんだよ、コレ……」 僕、苗木誠は呆然とした想いを無意識の中で口に出していた。 眼前には、本能的な恐怖を沸きたてる暗闇が、何処までも何処までも広がっている。 鼻腔をくすぐるは久しく嗅いでいなかった圧倒的な緑の香り。 瑞々しい空気は、あの学園の中には存在しなかったものだ。 待ち望んだ外の世界に立ち尽くして尚も、それでも僕の思考は呆然と停止していた。 「ようやく……脱出できたのに……」 脳裏に広がる記憶は、いまだ真新しい、膨大な絶望とほんの僅かな希望とが入り混じった『卒業』の瞬間。 僕達は、外の世界へと脱出することを選択した。 数多の絶望があった。 希望なんてものはどこにも存在しなかった。 見つけ出した数少ない希望は、丁寧に丁寧にその芽を摘み取られた。 絶望が支配する命懸けの殺し合いに、絶望が支配する命懸けの学級裁判。 生き延びた僕達は、最後の最後にあまりに大きすぎる絶望を突きつけられて、それでも希望を選択した。 軋みを上げて開いていった扉。 数週間ぶりの日光が視界を染め上げ、全てを覆い隠す。 外の世界への道が開かれ、そして、 あの場にいた。 まるであの学園生活が開始された時と同様だ。 気付けば、謎の教室に座らされていた。 どんな原理を使用してのものか、身体は光の輪っかにより縄のように椅子へ縛り付けられていた。 身動きを取る事もできないという点では、開始時の状況はあの時よりも酷いと言える。 身動きも取れず、混乱と動揺に声も上げる事もできない中で、ソレは執り行われた。 目の前が暗くなった。 あの学園で幾度となく覚えた感情が、再び胸の内に湧き上がった。 その感情はたった二文字で表せる、単純にして絶対的な感情。 絶望。 心がぎしぎしと嫌な音をたてるのが分かる。 吐き気すら覚える絶望感の中で、ただ老人の笑い声が響き渡った。 また始まるのだ。 生き延びたければ誰かを殺さなければいけない、そんな異常極まる非日常。 あの悪夢が、また始まる。 また、あの悪夢が。 「……何で……」 震える唇が言葉を漏らしていた。 無意味な行為だと分かっていても吐き出さずにはいられない。 そうでもしないと本当に心が折れてしまいそうだった。 「あんなに頑張って、皆で努力して、決意して、ようやく出られたっていうのに……」 本当に世界は絶望に支配されてしまったのだろう。 だからこそ、こんな事が執行できる。 だからこそ、こんなにもの絶望感を与えられる。 「何で……なんだ……」 思わずその場にへたれ込んでしまう。 地面でズボンが汚れるのなんて気にしていられない。 兵頭和尊。 あの男が再び僕を絶望へと突き落とした。 「ッ、なんで……どうしてまたこんな事をしなくちゃいけないんだよ……!?」 憤りの中で声が迸った。 暴れまわる感情を抑えることができなかった。 何もかもを吐き出してしまいたい。 今はただ無情な現実に心が滅茶苦茶に騒ぎ立っていた。 ◇ 地面にへたれ込んで何分程の時間が経過したのだろうか、僕は俯き加減ではあるものの立ち上がった。 ゆっくりと視線を上げて、前を見据える。 壮大な決意をした訳ではない、命を賭ける覚悟ができた訳でもない。 ただ、こんな所で死にたくなかったし、誰かが死んでいくのを見るのも嫌だった。 人が持つ極当たり前の感情に従って、僕は動き出す。 その時だった。 破裂音が聞こえた。 例えるならば爆竹を鳴らした時のような、だが爆竹なんかよりずっと暴力的で身体の奥底にまで響くような音。 聞き覚えのない音だ。 何度も何度も、時には連続して、時には間を空けて、音は繰り返し聞こえてくる。 近く……はないと思う。 その音自体は何となく遠くの方から聞こえてくる感じがするのだ。 誰かがいる。 そう思い、音がする方に身体を向けるが、そこには真っ暗な森林が覗いているだけであった。 ゴクリと、唾を飲み込む。 何となくではあるが、音の正体には見当が付いていた。 聞き覚えのない、強烈な炸裂音。 この破裂音の正体は、 「銃……声?」 多分、そうなのだろう。 纏わりつくような嫌な汗が、全身から噴き出してくるのが分かる。 心臓が異常なまでに鼓動を早め、呼吸は大きく荒いものへと変わっていく。 銃声。 銃器を使用する際に発生する音。 つまり、この音の先では誰かが銃器を使用しているという事。 それも何度も連続で。 否が応でも理解する。 殺し合いは既に始まっていて、しかも殺し合いに乗ってしまった者がいる。 絶望の殺し合いは、もう坂道を転がり始めている。 止まらないのか。 あの絶望の学園と同じ様に、また止められないのか。 後悔が、浮かぶ。 恐怖が、浮かぶ。 絶望が―――浮かぶ。 僕は音のする方を見詰めたまま、動く事ができなくなっていた。 一分、二分……多分、時間にすればそう長くない時が経ったのだろう。 僕は、銃声のした方へと背中を向けて、歩き出した。 そして一度、立ち止まる。 立ち止まり、また考える。 考え、そして身体の向きを、変える。 今度は銃声の聞こえた方へと。 僕は、身体を向けた。 「ぼ、僕は……」 怖い。 怖くて堪らない。 でも、目を逸らす事はできなかった。 殺し合いに乗った人がいて、銃声が鳴り響いていて……でも、逃げられない。 銃声が何発も鳴り響いたという事は、そこに誰か襲われた人がいるという事だ。 その人を、見捨てるのか。 あの学園では、悲しい擦れ違いの末に何人もの犠牲者が出てしまった。 でも、この殺し合いはまだ始まったばかりだ。 もしかしたら、まだ間に合うのではないか。 今度こそ、もう誰も死なせないで、この首輪を外す方法だって見つけ出せて、全員が全員無事な状態で脱出する。 そんな奇跡的な結末だって、『希望』に満ちた結末だって、有り得るのかもしれない。 勿論、その可能性が限り無く0に近い事は理解している。 でも、諦める訳には、いかない。 諦めてしまえば、可能性は本当に0になってしまうのだから。 だから、僕は決意した。 『希望』を追い求める事を。 恐怖を押し殺して、僕は銃声のする方角へ進んでいく。 身体は震え、呼吸だってまるでマラソンでもしているかのように荒くなっている。 でも、諦めない。 この先に『希望』があると信じて、道無き道を進んでいく。 「あ……!」 そして、僕は発見した。 暗闇の森林の中、血塗れで倒れている一人の男性。 思わず叫び声を上げそうになるが、理性を総動員して何とか沈黙を守る。 その男性はまるで、血液がたっぷり入ったバケツをそのまんま頭から被ったかのようであった。 全身が血に濡れていて、正直僕はその男が死んでいるものとばかり思ってしまった。 でも、違った。 よくよく見ると、男の胸部は呼吸に小さく上下していたのだ。 『希望』が、湧き上がる。 この人はまだ死んでいない―――助ける事ができる。 僕は震える身体をギクシャクと動かして、その男の人を背負った。 背が低く体格も細い僕では男の長身を支えきれない。 申し訳ないことに、そのスラリと伸びた両足を地面に引き摺る形となってしまった。 しかも、その男の人は予想以上に重い。 相当に鍛えてあるのだろうか、服越しに触れる肉体は鋼のような硬さを持っていた。 だが、止まる訳にはいかない。 まずは、この人を襲った人物から逃げ出さなくては。 そして何処かの建物に隠れ、出来る限りの処置を男へと施す。 もう誰も殺させはしない。 「ナイ……ブズ、様……」 ふと、声が聞こえた。 朦朧とした意識の中で紡がれたうわ言なのだろう。 力のない、儚さのある呟きであった。 紡がれたナイブズという名前。 聞き覚えのない名前だが、この男の人にとって余程大切な人なのだろうか。 男を支える身体に、力がこもっていくのを感じる。 絶対に死なせはしないという想いがより強くなっていった。 こうして僕は、その場から離れていき、この男を襲った人から逃げ出した。 『希望』を絶やさぬよう、自身を奮い立たせながら、暗い森の中を進んでいく。 ◇ そして、超高校級の『希望』とされた少年は、自身の内に滾る決意に任せて行動を始めた。 このような殺し合いの場でありながら、名も知らぬ男を助けようと行動を取る。 成る程、あの絶望の学園生活は彼を確かに強くしたのだろう。 だがしかし、彼は気付く事が、疑う事が、できなかった。 背中に背負う人物の正体。 600億$$の賞金首たるガンマンをもってして、超危険人物と言わしめる男。 とある砂の惑星にて最強の人間とされる怪物―――レガート・ブルーサマーズ。 その人物が今、苗木誠の背中にいた。 銃声が聞こえた先にいた大怪我人。だが、その大怪我人が危険人物でない確証など存在しないのだ。 苗木誠は、疑うという事をしなかった。 それが苗木誠という人間の長所であり、だがこの殺し合いの場であっては裏目と出てしまった。 『希望』を求めるあまりに、彼は大きな爆弾を背負い込む事となってしまったのだ。 救いたいと望む人物の正体も知らず、超高校級の『希望』は希望を夢見て、バトルロワイアルの会場を進む。 苗木誠は、再びの絶望生活から生還する事はできるのか。 超高校級の『希望』を待つ物語は如何に―――。 【一日目/深夜/A-3・森林】 【レガート・ブルーサマーズ@トライガン・マキシマム】 [状態]疲労(大)、全身にダメージ(大)、気絶中 [装備]レガートのワイヤー@トライガン・マキシマム、レガートの拳銃@トライガン・マキシマム [道具]ヴァッシュの拳銃@トライガン・マキシマム、基本支給品一式、ランダム支給品×0~2 [思考] 1:自分の忠誠に値する敵と戦いたい 2:アーカードと戦う。その為に装備を整えたい [備考] ※原作12巻・ビースト殺害の直後から参戦しています 【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】 [状態]健康 [装備]なし [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3 [思考] 0:誰も殺させない、死なせない 1:この場から離れ、男を治療する 2:首輪の解除法を探す [備考] ※原作終了後から参戦しています Back 推理【リカイフノウ】 時系列順で読む Next ヤンデレが自身のデレ期に困惑しながら大暴れするお話 Back 推理【リカイフノウ】 投下順で読む Next ヤンデレが自身のデレ期に困惑しながら大暴れするお話 GAME START 苗木誠 Next [[]] 人類最強VS吸血鬼最強 ~観客はお馴染みのネタに命を賭ける~ レガート・ブルーサマーズ Next [[]]
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みんなのくじ ★ ダンガンロンパ THE ANIMATION 【A賞】 霧切響子フィギュア 全1種 みんなのくじ ★ ダンガンロンパ THE ANIMATION 【A賞】 霧切響子フィギュア 全1種 発売日 :2013年10月2日 商品情報 ・サイズ:約18cm みんなのくじ ダンガンロンパ ラストゲット賞 霧切響子フィギュア~カップラーメン~ver. みんなのくじ ダンガンロンパ ラストゲット賞 霧切響子フィギュア~カップラーメン~ver. 発売日 :2013年10月2日 スーパーダンガンロンパ2 超高校級のフィギュア 01 江ノ島盾子 スーパーダンガンロンパ2 超高校級のフィギュア 01 江ノ島盾子 PVC塗装済み完成品 発売日 :2013年12月25日 商品情報 ・本体サイズ:全高270mm ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 モノクマ ソフビフィギュア ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 モノクマ ソフビフィギュア 発売日 :2012年2月28日 商品情報 ・本体サイズ:全高 約25cm
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ブースターパック 「ダンガンロンパ THE ANIMATION」 2013年10月25日発売。 この弾に収録されているカード キャラ DR-001 超高校級の幸運「苗木 誠」*未作成 DR-002 脱出へ向かって「苗木 誠」*未作成 DR-003 引き裂かれた絆「苗木 誠」*未作成 DR-004 超高校級の???「霧切 響子」*未作成 DR-005 脱出へ向かって「霧切 響子」*未作成 DR-006 謎多き少女「霧切 響子」*未作成 DR-007 超高校級のギャル「江ノ島 盾子」*未作成 DR-008 体育館への招集「江ノ島 盾子」*未作成 DR-009 非日常のはじまり「江ノ島 盾子」*未作成 DR-010 超高校級のスイマー「朝日奈 葵」*未作成 DR-011 我慢の限界「朝日奈 葵」*未作成 DR-012 十神を探して「朝日奈 葵」*未作成 DR-013 超高校級の御曹司「十神 白夜」*未作成 DR-014 実力に裏付けられた自信「十神 白夜」*未作成 DR-015 ゲームへの参加「十神 白夜」*未作成 DR-016 超高校級の文学少女「腐川 冬子」*未作成 DR-017 十神を見つめる「腐川 冬子」*未作成 DR-018 超高校級の殺人鬼「ジェノサイダー翔」*未作成 DR-019 超高校級の占い師「葉隠 康比呂」*未作成 DR-020 学級裁判の始まり「葉隠 康比呂」*未作成 DR-021 超高校級の格闘家「大神 さくら」*未作成 DR-022 朝日奈の心配「大神 さくら」*未作成 DR-023 学級裁判の始まり「大神 さくら」*未作成 DR-024 超高校級のアイドル「舞園 さやか」*未作成 DR-025 非日常の中で「舞園 さやか」*未作成 DR-026 引き裂かれた絆「舞園 さやか」*未作成 DR-027 超高校級の野球選手「桑田 怜恩」*未作成 DR-028 校内の探索「桑田 怜恩」*未作成 DR-029 超高校級の風紀委員「石丸 清多夏」*未作成 DR-030 ルールに怯む「石丸 清多夏」*未作成 DR-031 正義感あふれる「石丸 清多夏」*未作成 DR-032 超高校級の暴走族「大和田 紋土」*未作成 DR-033 食堂での報告会「大和田 紋土」*未作成 DR-034 激昂する「大和田 紋土」*未作成 DR-035 超高校級のギャンブラー「セレスティア・ルーデンベルク」*未作成 DR-036 体育館への招集「セレスティア・ルーデンベルク」*未作成 DR-037 呆れる「セレスティア・ルーデンベルク」*未作成 DR-038 超高校級の同人作家「山田 一二三」*未作成 DR-039 慰めの言葉「山田 一二三」*未作成 DR-040 朝の集合「山田 一二三」*未作成 DR-041 超高校級のプログラマー「不二咲 千尋」*未作成 DR-042 仲間を信じる「不二咲 千尋」*未作成 DR-043 拒否する「不二咲 千尋」*未作成 DR-044 絶望の具現「モノクマ」*未作成 DR-045 ルールの遵守?「モノクマ」*未作成 DR-046 学級裁判への誘い「モノクマ」*未作成 DR-047 学習型人工知能プログラム「アルターエゴ」*未作成 エクストラ DR-048 絶望の中の希望「霧切 響子」&「苗木 誠」*未作成 DR-049 脱出への道のり「苗木 誠」&「舞園 さやか」*未作成 DR-050 アルターエゴの発見「大神 さくら」&「朝日奈 葵」*未作成 DR-051 食堂での報告会「朝日奈 葵」&「不二咲 千尋」*未作成 DR-052 プールサイドへの集合「十神 白夜」&「ジェノサイダー翔」*未作成 DR-053 魂の兄弟「大和田 紋土」&「石丸 清多夏」*未作成 DR-054 アルターエゴの発見「セレスティア・ルーデンベルク」&「山田 一二三」*未作成 DR-055 対峙する二人「山田 一二三」&「石丸 清多夏」*未作成 DR-056 食堂での報告会「江ノ島 盾子」&「桑田 怜恩」*未作成 DR-057 モノクマからの通達「不二咲 千尋」&「舞園 さやか」*未作成 DR-058 ゲームへの参加「苗木 誠」*未作成 DR-059 振り回される「苗木 誠」*未作成 DR-060 非日常の中の日常「霧切 響子」*未作成 DR-061 日常の風景「江ノ島 盾子」*未作成 DR-062 親友への想い「朝日奈 葵」*未作成 DR-063 不敵な笑み「十神 白夜」*未作成 DR-064 殺しの美学「ジェノサイダー翔」*未作成 DR-065 犯行方法の指摘「葉隠 康比呂」*未作成 DR-066 学級裁判「大神 さくら」*未作成 DR-067 アイドル衣装「舞園 さやか」*未作成 DR-068 絶望する「桑田 怜恩」*未作成 DR-069 大和田の想いを受け取った「石丸 清多夏」*未作成 DR-070 追い詰められる「大和田 紋土」*未作成 DR-071 卒業の条件「セレスティア・ルーデンベルク」*未作成 DR-072 名推理?「山田 一二三」*未作成 DR-073 非日常のはじまり「不二咲 千尋」*未作成 DR-074 あざ笑う「モノクマ」*未作成 イベント DR-075 豹変*未作成 DR-076 居眠り*未作成 DR-077 朝の挨拶*未作成 DR-078 絶叫*未作成 DR-079 脱出の誓い*未作成 DR-080 見解の相違*未作成 DR-081 寝起きの対面*未作成 DR-082 大神さくらの最期*未作成 DR-083 校則違反*未作成 DR-084 目覚め*未作成 DR-085 忍び寄る影*未作成 DR-086 体育館への招集*未作成 DR-087 個室の交換*未作成 DR-088 見せかけの傷*未作成 DR-089 見つめるモノクマ*未作成 DR-090 大神さくらの遺書*未作成 DR-091 モノクマの解体*未作成 セット DR-092 モノクマの宝物*未作成 DR-093 在りし日の写真*未作成 DR-094 情報処理室の秘密*未作成 DR-095 ホットケーキ*未作成 DR-096 毒薬*未作成 DR-097 モノクマボトル*未作成 DR-098 サンドバッグ*未作成 DR-099 動かぬ証拠*未作成 DR-100 ハサミ*未作成